「あきらと適当プロローグ」



古い時代の絵画、書物、彫刻、陶磁器、家具、調度品などがところせましと並んでいる…
そう、ここはアンティークショップ……「いい仕事してますねぇ〜」な店なのだ。
また、店主の趣味で古本屋もやっていた。
この近辺で唯一の古本屋だ。
今、店内に客は一人しかいなかった。
小学校高学年ぐらいだろうか、眼鏡をかけた細長い少年が一人、古本のコーナーで商品を見ていた。
彼は数冊の本をかかえて、レジの方に向かった。
ふと、古ぼけた一冊の本に目がとまった。
気にせず先に支払いを済ませてしまおうと思ったが、どうにも気になって仕方が無い。
まるで、その本からマグネットパワーがほとばしっているかのようだった。
少年は買うつもりの本を置き、その古ぼけた本を手に取ってみた。
表紙には、何だかわからない模様やら図やら文字やらがたくさんかいてある。
この本には鍵がついていた。
が、これは人間程度の知能があれば容易にはずせる物だった。
鍵をはずし、表紙をめくった。
この本は普通の本ではなかった。
本の中身に拳銃の形の穴を空け、そこに銃を隠すというのがヤクザ漫画とかであるが、この本もそれと同じだった。
拳銃のかわりに、カードが入っていた。
本というよりは、本の形をしたカードケースというべきかも知れない。
少年は、自分に背を向けている一番上のカードをめくってみようと手を伸ばした。
が、次の瞬間、カードが突然、本から次々に飛び出した!
少年はあわてて本を閉じたが、カードはすでに空いていた窓から外の世界へ飛び去ってしまった。
それはまるで、カード自体に意志があり、少年の手におさまる事を拒んでいるかのようだった。
カウンターの方を見た。

店員はいない。

店の中を見回した。

誰もいない。

少年はさっき買う予定だった何冊かの本を棚に戻すと、一目散に店から出て行った。


だが、実はその時、店の奥には人がいたのだ。
一人はこの店の主人。
眼鏡をかけ、浅黒い肌をした、年齢不明の細い男だ。
あと二人は、両者ともに黒い長いコートを着た若い?男と、同じく白いコートを着た若い?女だ。

店主「おや…ひとまず、答えは先延ばしされたらしいよ。」

店内での出来事を見透かしながら、店主が言った。

男「そんな事したってダメだね無駄だね。運命は我々に逆らえはしない。
…いや…我々の方が運命に逆らっているのかな…?」

女「多分、後者ね。…私達は……いや、私はかつて定めに背き、それゆえに滅びた。」

男「しかし私はさらに定めに背き、今ここに在る…
…そう。我々はもはや、運命の手の届かない身となったのだよ。」

2人の言葉に、店主は微笑した。

店主「とことんまで反逆を続けた結果として、自由を得た…か。いいねぇ、君らしくて。」

女「悪く言えば、手に負えなくて見離された悪ガキと同じだがね。」

男「まあ、そう言いなさんなってばよ。…さて、本題に戻ろうか。」

店主「そうだね…さっきの一連の流れを見る限りでは、今すぐに、というわけにはいかなそうだ…
だが、もうすでにスイッチは入った。時が来るまで、まったりと待つさ。」

男「そうか。まあ、それがよかろう。
…さて、我々は別の仕事をしなくては。
次に君達と会えるのは、だいぶ先…そうだな…………まあ、とにかくだいぶ先だ。
では、さらばだ。後は…任せる。」

女「我々は、退屈が嫌いなのよさ。…特に、単調なリズムの繰り返しは…ね。」
そう言って、男と女は姿を消した。

店主「…それじゃあ、ぼちぼち準備といこうか…」

そして店主だけが残った。

店主「さてさて…事態はどのように転ぶかな…?」


〜6年後〜


やっほー(無気力)、僕は「鬼之素 彰(きのもと あきら)」。
いや、別に何と呼んでくれてもいいんだけどさぁー、さすがに、ヲタクとかそういうのはやめてほしいんだよねー。
いくら僕でも、さすがにそこまでの領域には達してないからさー。
それはそうと、犯神タイガースは最強にして最高の球団だと思うんだよねー。
否定する奴には生きる権利など無い!


かの者の名は「鬼之素 彰(きのもと あきら)」。
高校一年生である。
この男の事を一言で言い表すならば、良く言えば「天才」、悪く言えば「超絶Aクラスの変人」。これで充分だろう。
外見は長身で細長く、ぼさぼさの髪をしている。
彼の眼鏡のレンズの表面は汚れ、傷付きまくっている。
彼の周りには、常に無気力なオーラがみなぎっている。
普段の授業態度は最悪で、基本的に教師の話を聞いていない
では授業中に何をしているのかと言うと、宿題をやる、問題集を解く、寝る、英語の雑誌を読む、の四択に限っている
机の中身は置き勉しっぱなし。
もらったプリントはその日の内に行方不明になる。
しかも、ヒトの物とは思えないような字を書き、採点者を悩ませる。
そのくせ、成績は常にトップクラスに位置しているのだ。
まあ、なんにせよ、教師から見ればスゴくイヤな生徒である事は間違いなかろう。
そんなアキラの生きる糧は少女マンガだった。
幼い時から、地図帳と数学の参考書を見ながら育ったアキラ…

そんな彼が何故、少女マンガに惹かれるのか。

いや、そんな彼だからこそなのか?
まあ、別にそんな事どうだっていいのだが。

…待て待て、ホントにどうだっていいのか?
もしかしたら、その事が全ての謎を解くカギとなるかも知れないのに。

…次に死ぬのはあなたかも知れない…




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