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「あきらと交通事故」



時間というのは容赦無いもので、アキラが日曜日をだらだらと過ごしていると、いつの間にやら月曜になっていた。
アキラはいつものようにゆっくりと家を出、ゆっくりと歩き、遅刻ギリギリに学校に着いた。
アキラは机の上にかばんを置くと、ぐったりと死んだように机にへばりついた。
そのまま寝ようと目論んでいると、何やら騒がしい声がしきりに話しかけて来た。
「あな、やかまし。」と思い、声の主を思いっきりドツいた
すると、不思議な事に、声はやんだ。
だが、長くは続かなかった。「それ」は再び騒ぎ始めたのだ。
いや、「それ」ではさすがに可哀そうなので、紹介しておこう。
声の主の名は「樺山 示貞(かばやま しめさだ)」。
名前や顔の特徴から、「ヒポポ」というあだ名を想像する人は多い。
彼は「黄泉裏ジャイアンズ」(←球団名)のファンである。
そして、アキラが…っていうか多くの犯神ファンが最も嫌うのが、この詠裏なのである。

ヒポポ「…ったく、最近の詠裏ジャイアンズはアカンなあ…気分悪いわホンマ。ピッチャーが悪いんや。ピッチャーが。」

アキラ「ど〜か〜ん(←同感)。確かに悪いね。ピッチャー。」

ヒポポ「も!? ピッチャーも!? ちゃうわい! ピッチャーだけやって!
中継ぎがええ時は先発がボロボロやし、先発がええと思ったら中継ぎが打たれよる。
シャレならんて、マジで。」

アキラ「そうだね〜犯神の優秀な中継ぎが欲しいか?」

ヒポポ「いらんわ! そんなモン! ……あぁ〜あ…ええ若手が来たらなぁ…」

アキラ「まあ、なかなかないだろうね。」

トラッキィ「結局は金にモノ言わせるんやろけどな。」

ヒポポ「黙れぃや。ぬいぐるみの分際で喋るな。とにかく、今日こそは勝たなアカンのや。勝ちたいんや!!

トラッキィ「いや、それ犯神ファンのフレーズやから!」

ヒポポ「まあ、明日は飢腹(仮)やから大丈夫や。」

アキラ「でも、それだけしかないんじゃない?」

ヒポポ「ホンマやで、もう。飢腹(仮)降臨!他のはもう昇天しよるな。」

トラッキィ「でも、あんまし一人の選手だけに頼り過ぎんのもどうかと思うで?」

ヒポポ「いや、砂糖(仮)とか、良いピッチャーも出て来おるし、頑張ってるピッチャーもおるんやけどな。」

アキラ「三セり(仮)様だー。」

ヒポポ「…そんな奴ぁ、わしゃ知らんな。」

トラッキィ「…ところで、弐岡(仮)ってホンマにホモなん?」

アキラ&ヒポポ「知るか!!」

という具合に野球漫談が続いたが、授業開始のチャイムにさえぎられて、やめざるを得なかった。
授業が始まったので、アキラは寝た。

突然、アキラは何かを感じて目が覚めた。
今、壇上では、数学教師の「煮志湧(ニシワキ)」が何やら黒板に謎の物体を書きながら語っていた。

ニシワキ「…ベクトルっちゅうもんはだな、向きと大きさを持ったモンなんですな。
これは日常生活にも潜んどるんや。
農家とかに行くとだな…リアカーっちゅうもんがあるな。
こう…父親がこっちに引くな。で、母親と子供がこっちとこっちから押すな。
そうするっちゅうと、全体では前に進むな。
なるほど。数学を知らんでも、ベクトルは使えるんですな。」















ニシワキ「感動せぃや。」















誰もが反応に困っていると、ニシワキはしばらく虚空を見つめた後、再び語り出した。

ニシワキ「お前ら…『せんちむし』っちゅうもんを知っとるかぃや?……知らんのかぃや。
せんちむし、っちゅうたらアレだな。せっちんにおる虫のことやなぃけぃ。」















ニシワキ「わぅっ。」

















ダメだ!話にならない!




そんな中、アキラは再び眠りについた。





さくらがいっぱいだ〜




アキラ(! ………? ……なんだ夢か…)

その時、土気色の肌をした、背筋の曲がった男がアキラに言った。

ゾンビっぽい男「次、体育だよ! 起きろっつーの。」

彼の名は「芳木武 仁(よしきだけ ひとし)」といい、通称は「ヨッキー」。
上でも言ったように、健康なのにゾンビっぽく見える、気の毒な人だ。
ちなみに、彼はオタクっぽいネタに対して過敏に反応し、やたら食い付いてくるのである。
いや、ゾンビだから喰らいつくと言ってるのではなくて。
本人は気づいていないが、傍から見れば、かなりソッチの方面に染まっている
…っていうか、やはりヲタクネタが好きなのだろう。
まあ、とにかく、そういう人だ。

アキラ「ね〜む〜い〜」

アキラが周囲を見回すと、ほとんどの生徒が既に体操服に着替え終わり、教室から出て行った事がわかった。

ヨッキー「ホラホラ! あんたも『さくらがいっぱい』とか言ってるヒマがあったら、早く着替えろって!」

アキラ「…そんな事、言ってた?」

ヨッキー「うん、言ってた。マジだぜ。」

そんなこんなで、二人は駄弁りながら教室から出て行った。

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誰もいなくなった教室の中…

トラッキィ「これは…!カードの気配や!」

そう叫んで、トラッキィは窓を開け、運動場へと飛び出して行った。

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靴箱の所で運動靴に履き替えようとしていたその時、
突如 ドーン とか ガシャーン とかそういう類の音と凄まじい振動が伝わって来た。
驚いたアキラ達が運動場に出てみると、なんと、乗用車が校舎に激突している!

アキラ「うわ!」

ヨッキー「なんだこりゃ…!?」

先に外に出ていた教師や生徒、それに職員室にいた教師達も事故現場に集まって来た。
各教室の窓は開き、授業中だった教師・生徒が身を乗り出すようにして、その現場を眺めている。

と、その時!

一台のトラックが学校の敷地内に現れ、そのままアキラや他の人達のいる事故現場の方へ突っ込んで来た!

クモの子を散らしたように逃げまどう人々…踏みつぶされる数匹のクモ達…
校舎内外に響くダメージ音…そして悲鳴…

あたりはバッチリパニック状態になっていた。
呆然とするアキラの手を、何者かがつかんで引いて行った。
運動場の片隅にある運動部の部室の建物の裏に、アキラをつれて来たのは、なんとトラッキィだった。
なんか知らんけど、そこにはヒポポ(仮名)もいた。

トラッキィ「危ないとこやったな…大丈夫か?」

アキラ「え…? ああ…うん。」

ヒポポ「アンタ、アホか! ああいう時はさっさと逃げれぃや!」

その時、ヒポポの背後から、30cmぐらいのサイズの、謎のぬいぐるみ状生物が飛び出して来た。

謎のぬいぐるみ状生物「死にたいのかヒポ!?」

アキラ「…なにコレ?」

謎のぬいぐるみ状生物「『ヒップル』だヒポ!」

アキラ「は?」

トラッキィ「そいつは…ワイと同じ、魔法生物やな。」

アキラ「魔法生物?」

トラッキィ「魔力によって生み出された…もしくは、魔力が具現化して生まれた生命体の事や。」

アキラ「ふ〜ん。」

トラッキィ「ふ〜んて…まあええわ。それより、おまえ。」

と、トラッキィはヒポポの方を向いた。

ヒポポ「ん、何?」

トラッキィ「おまえ、やっぱ魔力のあるもんやったんか…どうりで、なんとなく魔力の波動を感じると思うた…」

アキラ「え?どういう事?」

ヒポポ「こ〜れ〜は〜で すね〜…」

ヒポポは何か説明しようとしたが、ぬいぐるみ状生物に遮られた。

ヒップル「細かい話は後ヒポ! 早くここから離れるヒポ!」

ヒポポ「えっ!? また来たんかいな!」

アキラ「え? 一体、何の事…」

トラッキィ「今や! 向こうに逃げぇ!」

トラッキィのその言葉を合図に、ヒポポとヒップルとトラッキィは建物の陰から飛び出した。
アキラはわけがわからなかったが、取りあえず一緒に飛び出した。
次の瞬間、部室の建物のアキラ達がいたあたりの壁を突き破り、大型バスが飛び出して来た!
トラッキィに言われてなかったら、アキラはバスに吹き飛ばされていただろう。

ヒポポ「あー、危なかったー…!」

アキラ「まさか…これもカードの仕業!?」

トラッキィ「あぁ…やっと殺傷能力満点のが出て来おったで…!」

ヒップル「!! また来たヒポ!」

その言葉通り、いまさっきクラッシュしたばかりの大型バスが、再びアキラ達の方へ猛スピードで向かって来た!





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