アキラと交通事故 後編



ヒポとヒップルとアキラとトラッキィはあわてて校庭の真ん中へ走り出した。
そのすぐ後ろを、窓ガラスの粉々になったトラックが追いかけてくる。
人間風情がトラックより早く走れるわけも無く、トラックはすさまじい良効率で間合いを詰めてくる。

トラッキィ「あかん、ここまではそこのカバ男が轢殺されてまう!アキラ、反撃するんや!」

アキラ「それは別に構わない。」

トラッキィ「じゃあそれは置いとくとして、カードを捕獲すんのがカードキャプターの役目やろ!」

アキラ「ま、それはそうだよね〜。じゃあ…闇の力を秘めし鍵よ…

ヒポ「ボケッ! みんな見とるやないかい! アホちゃうかあんたは! っていうか、轢き殺されるの僕かい!」

アキラ「え〜、別にい〜じゃ〜ん。そんな事気にしない、気にしない。」

トラッキィ「あ! ……な、ちょっとええか?」

アキラ「んん、何かなー? 今、大事なトコだからぁ、ジャマしないで欲しいんだよねー。」
トラッキィ「今、思いついたんやけどな……」

アキラ「うん。」

トラッキィ「ハイ、『轢く』という字はぁ〜、『車』『楽しい』と書くのです。」

アキラ「……………………」

ヒポ「……………………」

ヒップル「……………………」

トラッキィ「……………………」















トラッキィ「あそこの下駄箱に飛びこむんや!」

ヒポ「えぇっ!? 下駄箱の中なんぞに入れるわけあるかい!」

トラッキィ「…………ハッ。」

ヒポ「何やねん!? 今の笑い……」

アキラ達は中央下駄箱にころげこんだ。トラックは天上にひっかかって突っ込んでこれない。人影はない。

トラッキィ「今や、ほら、はよう反撃を!」

アキラ「よしっ! ……闇の力を秘めし鍵よ…真の姿を我の前に示せ……

TYPE-MOONとネトゲに溺れていそうな男の声「何やってんの?」

声の方を見ると、なんとも形容しがたいぶっちゃけキモい笑顔を浮かべた若白髪全開の男がゆらゆらと近寄って来た。
クラスメイトの「神城 克己(かみしろ かつみ)」だ。
あぁ、それにしても白髪が目立つ。何だよこの白髪は。

トラッキィ「ぬ! この何とも形容しがたい生理的嫌悪感は! コイツはわいにまかせるんや!」

と言うやいなや、トラッキィは神城のみぞおちに一撃。可哀想な白髪男はのびてしまった。
……さらに容赦無くダウン追い打ち。

ヒポ「いまや! ……何が今なんか微妙にわからんけど!」

アキラ「契約のもとアキラが命じる……! 『封印解除(レリーズ)』!!

というわけであの無礼なトラックを粉砕してしまえ! 『逆ねじ』!!


すると、例のドリル……ネジが、トラックの下の地面から高速回転しつつ勢いよく飛び出し、トラックを一瞬でスクラップにしてしまった。

トラッキィ「相変わらず悪魔超人ばりのナイス残虐ファイト! 今や、アキラ!」

アキラ「よしっ!汝のあるべき姿にもどれ!  えぇ〜…っと……なんとかカード!」

ところが全く変化はない。

トラッキィ「あかん、あのカードの正体を見破らな封印はでけへん。なんか心当り無いか?」

アキラは考えた。トラック? …いや違う。何かもっとばかばかしいような気も。

最愛の人にして永遠の脳内妻:さくらさんの事が頭から消えない。
こんな状況なのに、だニダ。
……ま、もとよりそういう人ですし。
いやそのまえに何か大切な言葉があったような気が。

アキラ「あっ! もしかしてアレか! ……『リアカー』!!」

そう言うと、トラックのエンジンは止まり、アキラの手元におんぼろのリアカーが描かれたカードが飛びこんで来た。

トラッキィ「よし、これで3枚目や。…あれ?トラックから煙が?」

バシーン と耳をつんざくような音がして、あたりが煙につつまれた。

ヒポ「あかん…このままやと……」

  ・・・・・

気がつくと、煮志湧のいかにも何も考えていなさそうな笑顔が見えた。

煮志湧「だいじょうぶかいや?」

アキラははっとしてあたりを見渡した。
トラッキィとヒップル以外あの場にいた全員が運動場に寝転んでいる。
アキラは煮志湧先生の方を振り向いた。…がそこにはもう誰もいなかった。
そして視界にとびこんでくるべき校舎の一部分もなかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

トラッキィ「アキラ、茶碗風呂はまだかいな〜?」

アキラ「んー、ちょっとまって。」

アキラはどんぶり一杯にはったお湯の湯気でめがねをくもらせながら茶碗風呂によろこんでつかっているトラッキィに尋ねた。

アキラ「ねぇ、樺山君とかいう何となく生理的嫌悪感を催すクラスメイトと言いさー、ヒップルとかいう何となく生理的嫌悪感を催す生物と言いさー、煮志湧さんとかいう何となく生理的嫌悪感を催す教師と言い、一体なんなの?」

トラッキィ「さぁ、そのうちわかるんとちゃうん。」

アキラ「……封印の獣というやつは、こんなにもいい加減なものなのか?」

トラッキィ「…………おいキタロー。」

アキラ「なにー? ……いや、キタローじゃないけど。」

トラッキィ「あのさ。生理的嫌悪感て……どちらかと言うと、ワイはお前の趣味の方がアレやと思うけどなぁ……。あと、このお湯ちょっと熱いな。アキラ、ちょっと水たして(はぁと)」

アキラにトラッキィの表情はよく見えなかったが、とりあえずカップヌードルが作れるぐらいの温度の水を足しておいた。





次回は、「アキラと不思議の国」ですぅ。




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